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2010年2月26日 (金)

PDSA補足

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↑ たまにはお堅い話もよいではないですか

昨日の記事を読んだ方の中には、「治療費が無料で、どうやって病院を経営しているのか?」
「どんな人でも利用できるのか?」など疑問に思ったかもしれない。

当時、マリアの診療所が成功したことに、Royal College of Veterinary Surgeons と
The Ministry of Agriculture(イギリスの農水省と獣医師会)は快く思わなかったそうだ。

マリアは獣医師会にこう手紙を書いたそうだ。

「貧しい人々の病気の動物たちの為に、診療所を開いて、適切な治療を行うことが
おかしいと思うならば、オーナーたちに、病気や怪我を治す方法を見せてあげてください。

私たちがやっていることと同じことをやってみせてください。

私たちの行っていることを邪魔しようとする時間と労力を、酷い目に遭っている動物の
為に捧げたらどうなの?」

結果、すぐに同意が結ばれ、PDSA は診療所を閉鎖せずに済んだ。

その後、このチャリティ活動は法律によって役割をきちんと制定され、現在に至る。

創立から93年間の歴史を経て、PDSA はイギリスで43の病院を持ち、更に349の通常の
動物病院との提携も行い、1,500人のスタッフを雇用する獣医療のチャリティ団体に成長した。

では、どのような場合、PDSA で無料の治療を受けることができるのか?

無料の治療が当てはまるオーナーとは、経済的に生活が難しく、国から Housing Benefit
または Council Tax Benefit(低所得の人が受けることができるイギリスの社会保障の一つ)を
受けている人たちだそうだ。

この場合、イギリスだと、5戸に1戸の家庭は PDSA にかかることができることになる。

無料だからといって、その場しのぎな治療を行うのでは勿論なく、一流の獣医師が、
ハイスタンダードな治療を、綺麗で広い病院で、適切な機器を使用して行う。

最初に5ポンド(750円)の登録手数料が必要だが、犬や猫だけでなく、ウサギや
モルモットなどの小動物も可能だ。

無料の診療の対象外となってしまうのが、時間外診療、ワクチン、去勢避妊、療法食の
ペットフード、診断に必要のない検査、健康診断、妊娠診断、死後の原因究明などである。

ではこんなにも大きな団体、一体資金源はどうなっているのだろうか?

PDSA の2008年のコストは、4800万ポンド、つまり71億円以上にも上る。

ペット1匹の治療費は平均して2万円ほど。資格を持つ261人の獣医師、297人の
獣医看護師、それから4,800人のボランティアが支える。

ボランティアの主な仕事は、チャリティショップの経営や、イベントでの資金集めである。

他のイギリスのチャリティ団体と同じように、資金源の主は「遺産」である。

イギリス人は人生の最後を慈善事業に捧げる人が多い。

「定額の寄付」というチャリティ団体によく見られるシステムだが、会員登録をしてもらい、
月に数ポンドの寄付が銀行口座もしくはクレジットカードから自動的に引き落とされる。

PDSA の場合、「PDSAベストフレンド」と称して、月3ポンド(450円ほど)の寄付となり、
会員には様々な特典もついてくる。

小額の寄付なら続けられることが多く、チリも積もればの精神で、チャリティを大きく支える。

実は、旦那様も十年以上昔、北米のオオカミ保護団体の会員だったそうだ。
年間$25程の寄付でサポートメンバーになっていたそうだ。

その他に「一般の寄付」や「ラッフル」という慈善のためのクジがある。

Oxfam等と同じような「チャリティショップ」もあるし、オンラインショップもあるし
ネットでのオークションにも出品している。

そして「資金集め(fundraising)のイベント」も重要行事で、草ドッグショーや、犬を連れて
歩くお散歩行進、ロンドンマラソンへの参加など、数々のイベントを開催したり参加したりして、
知名度を上げ、イメージアップを図ると共に、資金源を増やすのである。

ちなみに、昨年の末にはロンドンで、サンタの格好をして5キロを走る「サンタ・ラン」を行い、
多くのメンバーや一般参加者が楽しみながら、1500万円の資金集めを行った。


有名人、著名人の支持も大切で、PDSA は、「ロッド・スチュワート」「エルトン・ジョン」
「サイモン・コーウェル(アメリカンアイドルの辛口審査員)などのサポートを受けている。

PDSA の創立者だったマリアは、第二次世界大戦の時、Animal bravery awards を作り、
勇敢にも戦った犬たちにメダルを授与した。

それが今でも続いている Dickin Medal である。

受賞動物には、軍鳩(伝書鳩)、救助犬、軍馬、船に乗っていた犬や猫がおり、最近では、
9・11の時に世界貿易ビルからオーナーを安全に連れ出した盲導犬、ペンタゴンで
救助活動を行った犬、イラクで爆弾を見つけていた犬のバスター、同じくアフガニスタンで
爆発物を探知していた黒ラブのセイディなどがいる。

PDSA は動物墓地も所有しており、世界大戦で亡くなった犬たちも眠っているそうだ。


日本ではなかなか馴染みのない寄付という行為、都心では何やら怪しげな動物愛護の
募金が行われていて余計にイメージが悪い。

でも、これだけのペット大国になったのだから動物保護の運動も、もう少し盛り上がって
欲しいと願うワタシなワケ

  

■ となりの食卓
 ・ 和風キノコのパスタ
 ・ 自家製黒ごまソースの棒々鶏
 ・ 白ワイン
 ・ リンゴ   おこぼれあり


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コメント

>ミモザmamaありがと
税金が高いというお国柄もあるそうです。
ワケのわからない税金より、自分の目指すところで
使われたいという想いですね。

投稿: マリア | 2010年3月 2日 (火) 06:41

補助犬の団体さんとお話した時に、街頭募金の話がでました。
きちんと活動しているところは困っていました。
遺産を・・・というのは、イギリスらしい感じ。
日本ではまだ少ないのでしょうね~

投稿: ミモザ | 2010年3月 2日 (火) 06:15

>七栗堂mamaありがと
人の善意を裏切る卑劣な行為です。
こういう問題の信頼回復というのは時間がかかりますね。

投稿: マリア | 2010年2月28日 (日) 09:08

一時期街頭募金はほんとに詐欺が問題になりましたもんね…
私も盲導犬やレスキュー犬などの街頭募金は見ると少額でも行っていたのですが
あの問題で止めてしまいましたdown

投稿: 七栗堂 | 2010年2月27日 (土) 22:09

>Kylano3ママありがと
こちらでも保護犬のNPO団体を名乗って寄付を募る一団がいます
NPO法人の登録を調べたら、案の定存在していませんでした。

投稿: マリア | 2010年2月27日 (土) 20:54

チャリティーへの寄付はほとんど参加しないんです。

理由としては、そのチャリティーの信頼度、または寄付金の行方がどうも不明確である為なんです。

まぁ、しっかり時間をかけて調べればよいのでしょうが。

ただ、こちらで最近、保護犬、猫の里親募集が広まっているので、それだけはうれしいですね。

投稿: kylano3 | 2010年2月27日 (土) 17:23

>みっちゃんmamaありがと
キリキリchan元気ですか!
1万円では贖えない癒しを与えてくれているから
よいではないですか

投稿: マリア | 2010年2月27日 (土) 06:28

こちらでは,寄付金やチャリテーでまかなってるようです。でも、無料で観てもらえる動物病院は無いですね。。
キリキリは健康ですがその確認に1万円位かかります。

投稿: みっちゃん | 2010年2月27日 (土) 01:08

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