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2010年3月15日 (月)

翁丸(オキナマル)

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↑ 昔は姥捨山ならぬ犬捨島があったそうですよ~
  


最近はドイツやイギリスのワンズの話が多いけど、日本でも古くから歴史の中に犬が
登場してくるワケ

もっとも、古文は奥方様の守備範囲なので旦那様はどちらかというと苦手なカンジ

『枕草子』は、平安時代中期の女流作家、清少納言により執筆されたと伝わる随筆
「春はあけぼの」の第一段からはじまり、「跋文」第三百十九段まである・・・らしい。

その『枕草子』の第九段に「うえにさむらう御ねこは」というのがある。

当時猫は唐猫、天皇の飼い猫で五位に叙せられ、その扱いも殿上人級で、「いり給え」と
敬語で呼ばれていたらしい。


物語を現代語訳にしたモノを見ると、

一条天皇が飼われていた猫は「命婦のおとど」という名前をもらって、たいそうかわい
がられていました。

いっぽう宮中には翁丸(おきなまる) という犬もいて、彼は外飼いでしたが、猫は室内で
大切に飼われていました。

ある日、女官のひとりが「おとど」をおどかそうと翁丸をけしかけました。

翁丸はよせばいいのに本気になって猫に襲いかかったので、それをご覧になった天皇に
ひどく怒られてしまいました。

天皇は猫を懐に抱かれて、蔵人をお呼びになり言いつけました。

「この翁丸、打ちこらしめて犬島へ追放してしまえ。いますぐにだ!」
こうして翁丸は追放されてしまいます。

女官たちは、翁丸の行く末を心配して口々に言いました。

「あ~あ、去年の桃の節句には、翁丸はふざけて頭に桃の花のかんざしを付けられて
庭先を歩いていたのに…。きっとあのときはまさかこんな目に遭うとは思いもしなかった
だろうにねえ」

「そうねえ。中宮さまのお食事のときには、かならず正座してじっと待ってて、おあまりを
ねだっていたのに、寂しいことねえ」

ところが2、3日して外からキャンキャンとけたたましく鳴く犬の声が聞こえてきます。
様子を見てきた厠番の下女が言いました。

「大変! 蔵人が2人がかりで犬を叩いてます。追放した犬が戻ってきたといって
叩いたんです。ああ、あんなに叩いたら死んでしまう……」

ほどなくして「死んでしまったので詰所から外に捨てました」と報告がきて、一同は
ため息をつきました。

ところがその夕方、ボロボロの犬がふるえながら歩いているではありませんか。
「翁丸!」と呼んでみますが反応がありません。

「翁丸に違いない」というものもいれば「絶対違う」というものもいて騒ぎになってしまったので、
天皇も「翁丸をよく知っている右近を呼べ!」と言われて右近にその犬を確かめさせました。

ですが、犬には翁丸の面影はありません。

「似てはおりますがあまりにひどい。呼んでも寄ってきませんし……2人がかりで
叩き殺して捨てたと言っておりましたから、翁丸はきっともう生きてはいますまい」


暗くなって食べ物を与えてみましたが何も食べません。だけど翌朝になっても犬はいます。

そこで中宮さまが洗面のあと、御鏡を見ておいでのときに、ふとわたくし(清少納言)が、
「翁丸にはひどい仕打ちをしてかわいそうなことをしました。

どんなにつらく悲しい気持ちだったことでしょう。死んでしまうなんて。今度は何に生まれ
変わるんでしょう」と言いますと、突然犬がふるえながら涙を流して泣き出すではありませんか。

中宮が御鏡を置いて「やはり翁丸か?」と言われると、突っ伏して泣きます。

「やっぱりそうだったか」と天皇も駆けつけられ、大騒ぎになりました。
「驚いた。犬でもこうした心を持っているものなんだなあ」と天皇もお笑いになり、「手当を
してやりなさい」と許されました。

犬はすっかりもとの翁丸に戻ってはしゃぎまわっておりました。


日本の犬は大陸から飼い慣らされた状態で連れてこられ、おもに狩猟などのお供として
使われてきたそうです。

縄文時代の馬込貝塚遺跡からは、丁寧に埋葬された犬の骨が発見されているし、
弥生時代の銅鐸には犬が狩りをしている絵が描かれているワケ。

『日本書紀』には「国々に犬飼部を置く」という一文があって、これは奈良時代の人々が
番犬や猟犬として犬を飼育する役職を設けていたことを示している。

お役所が管理するブリーダーのようなもがあったのかもしれないというワケ


日本の犬の歴史もなかなかおもしろいかもしれませんよ~

  

■ となりの食卓
 ・ 牛オイル焼き
 ・ 特製マカロニサラダ
 ・ フレッシュサラダ
 ・ みそ汁
 ・ デコポン  おこぼれあり

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コメント

>Kylano3ママありがと
「名犬ラッシー」のTVも途中で必ず理不尽な仕打ちにあいます
あれがかわいそうでしたね~

投稿: マリア | 2010年3月17日 (水) 17:01

>古典・古文は苦手でした!先生との相性も最悪。
私もまったく同じです。
そして、いまだに。。。。

このお話、
>「この翁丸、打ちこらしめて犬島へ追放してしまえ。いますぐにだ!」
と、この時点で読むのをやめてしまいました。
やっと勇気を出して、最後まで読みました。
元気になった翁丸の結論でホッ。

イヌ、ネコのお話は苦手だ~~~~。

投稿: kylano3 | 2010年3月17日 (水) 16:19

>Deeploveママありがと
私設家庭教師付きですか!
生徒が素直だと教え甲斐もあるでしょう
古文は取っ付きにくいけど、中身は面白い話が多いですね

投稿: マリア | 2010年3月16日 (火) 20:42

古文大好きでした。

なにせ、古い物好きですから。

でも、翁丸はしりませんでしたよ。
もし、お勉強していた時期に学んでいたら、もっと
夢中になっていたかも。

現代文は苦手でした。
だから、文章もへんでしょう?旦那さんに添削されるのですよ~。

投稿: deeplove | 2010年3月16日 (火) 18:29

>ホーリーmamaありがと
歴史は大好きですが、犬の観点から考えたことはなかったですね
面白いのでまた探してみます

>七栗堂mamaありがと
犬山市も何か謂われがあるのでしょう。
「犬飼」さんという名字の方がいらっしゃいますが
ご先祖はブリーダーさんかも?

>みっちゃんmamaありがと
古典・古文は苦手でした!先生との相性も最悪。
卒業してから関心が出てきましたね

投稿: マリア | 2010年3月16日 (火) 06:46

古典、、、、、おばちゃま高校の時、「1」貰ったわよ。。。(ノ∀`) アチャー
追試でなんとかパスしたけど、酷いよね〜〜

このワンコの歴史もちゃんと読んでなかったから知らなかった。昔は猫は家の中で犬は外って言ってたよね。今はどちらかと言うとギャクになって来てる。私達、人間が変えたのでしょうね。いずれも愛情を込めてる事には違いないのですから。

投稿: みっちゃん | 2010年3月15日 (月) 23:48

そんな昔からイヌを飼育する役職があったのなら
地名に「犬」の字あるところはなにかしら
そんないわくのある土地なのかしら??

ちなみにお隣の県に「犬山市」ってあるんですよねぇsign04
犬のブリーダーかはたまた犬捨て島ならぬ犬捨て山か…sweat01

投稿: 七栗堂 | 2010年3月15日 (月) 22:22

まあ~、枕草子に犬に関するお話があるのですね。
翁丸をけしかけた、女官がにくいですね。

犬も心ある物として書かれていて、よかった!

日本書紀には、もう犬を飼育する役職があったとはびっくり。

投稿: ホーリーママ | 2010年3月15日 (月) 22:03

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